2022年度活動報告

コロナ禍の余波等により、2021年度に引き続き活動は全般に低調であったといわざるを得ない。2022年9月には、中国・復旦大学等との共催で「中央欧亜歴史文化国際学術研討会」を上海で開催する予定であったが、中国への入国が困難であること等を考慮して、2023年に延期となった。11月には、Institute of Oriental Studies of the Russian Academy of Sciences等との共催で First International Academic Conference “Nomads of Eurasia: Socio-Cultural Dynamics and Historical Perspective”をモスクワで開催し、所員・招聘研究員が報告を行う予定であった。しかし、学会は予定通り開催されたものの、モスクワへの渡航が困難になったことから、共催は名目のみにとどまり、本研究所関係者の参会は実現しなかった。実現した活動としては、下記の2回の講演会(主催)のほか、早稲田大学高等研究所主催の公開セミナー「オスマン帝国と東アジア:近代化をめぐる交流の軌跡」(2023年1月13日)を共催した。

  • 講演会「「チャハル盟の設立と解体に関する幾つかの問題について」(講演者:チョクト、2022年11月18日、於戸山キャンパス33号館第10会議室)。これまでほとんど研究対象とされてこなかった「チャハル盟」について、いくつかの基本的事実を明らかにする内容で、当該分野における今後の研究の基礎として大きな意義を有するものであった。
  • 講演会「クリミア汗国とカフカス」(講演者:赤坂恒明、2023年2月10日、於戸山キャンパス39号館第5会議室)。クリミア汗国(1440~1783)と西北カフカスのチェルケス集団との関係について、アタリク制やチェルケスにおけるクリミア系王族「ハヌコ/ハヌク」(山岳スルタン)等にかかわる諸問題について概観した。これまで世界的にほとんど専論のないテーマであり、多くの斬新な知見が提示された。他大学・研究機関の研究者・学生等も含め、少人数ながら幅広い層の参加者があった。