2023年度活動報告

コロナ禍の影響から徐々に脱却し、下記のようにいくつかの主催・共催イベントを実施した。2023年7月には、内モンゴル大学のオルトナスト教授を招き、「モンゴル帝国の首都カラコルムに関する知識人類学的考察」という演題で講演会を実施した。9月には、中国・上海の復旦大学で行われた「13-19世紀中央欧亜歴史与文化国際学術研討会」(International Conference of the History and Culture of the Central Eurasia from the 13th to the 19th Centuries)を共催した。中国への渡航に制限がある中で、当研究所からの参加は所長と中国在住の招聘研究員数名にとどまったが、会議の名称自体が当研究所を意識したものであることからも窺われるように、当研究所の存在を中国等の学界に認知してもらう上では小さからぬ意義があったと考える。2024年3月には、当研究所単独開催のワークショップ「「モンゴル」周縁の歴史・文化の動態」を実施した。地域・時代とも幅広い内容を盛り込み、充実した意見交換が行われた。また、2023年5月には、高等研究所セミナー「知識、文化、そして自らを〈換算〉する─モンゴル帝国のユーラシア統治」を共催した。

  • 2024年3月21日に実施したワークショップ「「モンゴル」周縁の歴史・文化の動態」は、髙木小苗(招聘研究員)、柳澤明(所長)および等々力政彦(京都大学)の3名の報告者が、それぞれフレグ・ウルス(イル・ハン国)の社会、清-ロシア関係における翻訳、トゥバの歴史と文化に関する専門的な報告を行い、各報告に対してコメンテーター(計4名)がコメントした後、質疑応答・討論を行うという形で進めた。また、等々力氏による民族楽器のライブ演奏も行われた。
  • 2023年9月に上海の復旦大学で行われ、当研究所が共催した「13-19世紀中央欧亜歴史与文化国際学術研討会」は、全体会と2つの分科会から構成され、約30名が研究発表を行うという本格的なものであった。コロナ禍のためにしばらく停滞していた中央ユーラシア研究における国際交流の本格的な再開へ向けて、一定の意義をもつイベントであったと考えられる。